半分白目日記

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空に消えた設定シリーズ・センキチカフェ

とつぜん現れ、とつぜん消えた―――

そんな設定や人物に注目するのが「空に消えたシリーズ」の試みです。

今回は、もうじき役目を終えようとしているセンキチカフェについて考察していきます。

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開店までの経緯

センキチカフェは第19週「泣きたい!」で鈴愛が思い付き、第20週「始めたい!」で完成したつくし食堂の2号店です。主なメニューは五平餅。高校の近くに位置する店舗で、学校帰りの高校生をターゲットにしています。

鈴愛が2号店を思いついたのは、つくし食堂には人手が足りているし、友人のブッチャーに仕事を世話してもらうのは気が進まなかったからです。「雇われるくらいなら物乞いしたほうがましだ」とまで言っていました。そこで仙吉の五平餅を受け継ぎ、2号店を開店することにしたんでしたね。

店を始めるにあたってまず鈴愛がしたことは資金の確保です。

離婚したての鈴愛には貯金がありませんでした。そこで目を付けたのが晴の貯金。草太のカツ丼で繁盛した食堂では利益が多く出ていて、晴は夢の世界一周旅行に向けてお金を貯めていました。結婚してからこれまで働きづめだった晴をねぎらうために鈴愛以外の家族は賛成していた船旅でしたが、宇太郎までも2号店に乗り気になり、晴はプチ家出。といっても近所の萩尾和子のもとへ行っただけで、迎えに来た鈴愛とすぐに帰り、結局2号店の資金としてお金を出すことになりました。

このくだりが未だに腑に落ちないのですが、闘病中の和子に「新しく挑戦できるっていうのは素敵なこと」をふわっと言われただけで「そうね……」となってしまうのが謎でした。いきなり帰ってきた三十歳半ばの娘の「アイデア」とやらに付き合わされ大金を出さなければならない悲しみ。それに従わなければ自分がまるで夢をつぶす人として悪者扱いされるような恐怖。しかし晴はそんな恨みがましい表情はその後一切見せませんでした。

店の名前を聞き出すアイデア

資金面をクリアし、仙吉がつくる五平餅の味を受け継ぐために教えを乞う鈴愛。梟町特有の時空のゆがみによりはっきりとした期間はわかりませんが、正味一週間そこらで仙吉の味は獲得したようです。そればかりか、仙吉の味を超えたとまで鈴愛の五平餅は太鼓判を押されます。

2号店の開店を前にして仙吉は亡くなりますが、生前に遺した直筆の五平餅レシピノートも発見されます。五平餅の味自体は完璧に受け継がれ、残すは店名を決めるのみになりました。

仙吉が生前に考えた店の名前は花野だけに教えていて、花野は「オーちゃんとカンちゃんとココンタだけの秘密」と鈴愛に教えようとしません。そこで鈴愛はココンタに携帯電話を仕込み、スピーカーフォンでココンタになりすまして花野と会話。「センキチカフェ」という名前を聞き出します。思えばこのココンタが後の岐阜犬の前身だったんですね。余談ですがココンタも役目を終えたあとは名前すらも呼ばれなくなりました。

舞台装置としてのセンキチカフェ

センキチカフェオープンの日、鈴愛は医者の貴美香から「和子さんも仕事があったほうがいい」と聞かされます。そこでココンタの件を思い出し、店先に犬のぬいぐるみを置いて遠隔会話システムを仕込み、会話の仕事を和子に任せることに。岐阜犬(ギフケン)です。

また、同じくオープンの日にはセンキチカフェを手伝っていた健人がブッチャーの姉・麗子と出会い、一目惚れ。

岐阜犬はたちまち人気が出ますが、和子の体調が急変。律がわざわざ家から出てセンキチカフェに潜入し、和子と岐阜犬越しに親子の会話を交わすというシーンもありました。思えばこのあたりがセンキチカフェのピークだったのでしょう。その後、鈴愛は急速にセンキチカフェへの関心を失っていきます。 

健人がセンキチカフェに居る理由

鈴愛が言うには、健人と麗子が結婚することになりセンキチカフェには居場所がないとのことですが、そもそもなぜ健人はずっとセンキチカフェにいるのでしょうか。健人は草太のカツ丼に衝撃を受け、アメリカにも広めるためにカツ丼の修行に来ていたはずです。それがなぜセンキチカフェで五平餅をずっと焼いているのでしょう。麗子は健人と一緒に居たいからとセンキチカフェを手伝いに来ているわけですが、元来の健人の目的からしたら二人ともつくし食堂で働けばいいはずですよね。

しかし、健人はセンキチカフェにいなくてはならないのです。なぜなら、鈴愛が再び東京へ行くというストーリー上の都合があるから。仙吉から受け継いだはずの五平餅の味も、いつのまにか健人が遜色なく出せているのでしょう。

そもそもセンキチカフェは必要だったのか

すぐに手放すくらいなら、なぜ晴のお金を奪ってまで2号店を開いたのか。

それは「鈴愛の影響力」を視聴者に示すために必要だったからです。鈴愛のアイデアはとにかく素晴らしく、発案した岐阜犬もつくし食堂に置くのではいまいちインパクトに欠けます。鈴愛がさも自分でつくりあげたような特別な舞台でなければいけなかったのです。鈴愛は、おそらく健人にも五平餅の焼き方をみっちり修行して教えたのでしょう。それでも「鈴愛さんの焼いた五平餅にはかなわないなぁ」という台詞がいつか出てくるかもしれません。

岐阜犬も商品化され津曲に引き渡すこととなった今、センキチカフェは役目を終えようとしています。もしかしたら人気が出て全国チェーン店となり、五平餅の味とともに仙吉の似顔絵ロゴもカーネル・サンダースのように全世界にまで知れ渡る……という夢を、亡くなる寸前の仙吉が夢見ていたかどうかは、今となっては誰にもわかりません。

―――許可の問題があるんだろうけど、個人的には店の名前は「ドンキッコ」のほうが覚えやすいんじゃないかなと思いました

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