半分白目日記

思った、ことを、書いて、いきます。

独特な言い回しの台詞やト書きに役者たちがした反応とは

「半分、青い。」を見ていて気になるのは台詞が独特なところです。

言い回しが独特だったり、断定口調だったり。

そういった台詞について演じている役者はどう感じているのか?

公式インタビューなどから探ってみたいと思います。

▼間違いではないそうです

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句読点の多さ

脚本担当の北川悦吏子さんのTwitterを見ると、句読点が多めに使用されています。 

句読点が多い理由として

手書きからタイピングになったらこうなったとおっしゃっています。

親指シフト入力が得意だそうです。

以上のことを踏まえると、手書きでシナリオを書いていた時代は句読点も多くなかったのでは? と推察されます。 

ですが、日本でワープロが普及したのは1980年代後半。北川悦吏子さんの脚本で一番古いものが1991年の作品です。ということは、手書きのため句読点が少ないシナリオは今となっては見ることができない可能性のほうが高いです。

「半分、青い。」にどれだけ句読点が多いのか。シナリオそのものは読むことができませんがノベライズ版から推し量ることができます。ちなみに、タイトルにも句読点両方入っていますね。

ノベライズ版は下記リンクの「立ち読みする」から垣間見ることができます。

文春文庫『半分、青い。 下』北川悦吏子 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS

台詞だけでなく地の部分まで読点が多めですね。

ノベライズは北川悦吏子さんの脚本をもとに前川奈緒さんという方が担当していますが、小説化するの大変そうだなと思ってしまいました。

ところで役者は句読点の多さについてどう感じているのか?

公式サイトのインタビューで永野芽郁さんが言及している部分がありました。

鈴愛のセリフやナレーションにある読点の位置もいいんですよ。すごく不思議なところに打ってあるんですが、そのとおりにセリフを発すると、より鈴愛らしくなる。変えてしまうと、ことばのニュアンスがちょっと変わって、鈴愛らしさが出なかったりするんです。
たぶん北川さんは、セリフ一つひとつを頭の中で再生しながら書かれているんだと思います。「これが北川さんのことばなんだ!」と思いました。

インタビュー 永野芽郁 Vol.1|NHK連続テレビ小説『半分、青い。』

なんと健気な。不思議な句読点と思いつつ、忠実に演じてらっしゃるのが伝わってきますね。そもそも視聴者側からしたら台詞のどこに句読点がうたれているのかはわからないわけですから、役者さんの苦労がしのばれます。

特徴的な言い回し

他にも気になるのが「~だ」「~してくれ」「~だからか?」などの語尾です。男性だけではなく女性がこのような口調なのが違和感。

これについて興味深い記事があります。

岩井監督:
「女性なのに『私は生きてるだけだ。』
『だ』って言い切るでしょう?この『だ』をはずしたいという役者もいると思う。」
北川監督:
「あれは外せないです。原田知世さんもこのセリフが好きだって言ってくださいました。」

北川悦吏子×岩井俊二トークショー in 岐阜CINEX - Cafemirage

 2016年に岐阜で行われた北川悦吏子さんと岩井俊二さんの対談記事です。

女性で「~だ」と言う台詞は演じづらいのではないか、と少なくとも岩井俊二監督は思っていることがうかがえます。

個人的には「~だわ」「~よ」など、いかにもな女性言葉が未だにお芝居で使われていると違和感があるので、それを使わないことに関しては評価したいところです。

ですが、他に言い方ないんかい、と見ていて思うことは多々あります。

独特なト書き

他にもインタビュー記事を読んでいて気になったのは独特なト書きです。ト書きは台詞よりも視聴者には伝わりにくい部分でもあります。演技として表現されたものが映像化されるので、それを見てト書きのことまで考える視聴者はあまりいないのではないでしょうか。

まずは、鈴愛の漫画家時代から。

台本に書かれた「異次元にいる感じの鈴愛」「現実世界にはいない」といったト書きも参考にしながら、鈴愛の心が全く読めないようなお芝居を目指しました。黒い目でずっと同じ一点を見つめて、相手の言葉を頭や心で受け止めずに、ただただ返すような感覚でした。

インタビュー 永野芽郁 Vol.4|NHK連続テレビ小説『半分、青い。』

具体的な動作を書くだけがト書きだと思っていた自分にはわりと衝撃でした。

「異次元にいる感じ」というのは、具体的に目の焦点があっていないとか、口があけっぱなしとか、なんならよだれがたれているとか、常に身体が斜めになっているとかそういう感じでしょうか? いくらでもとらえようがある表現なので難しいですよね。

続いて、鈴愛が花野を出産した場面。

生まれた子を優しく見つめるシーンの台本には、「神々しい母の顔」と書かれていたのですが、「母が私を生んだときにはこんな顔をしただろうなぁ」とイメージしながら臨みました。 

ヒロインコーナー 「芽郁に聞きたい!」~好きなシーンは?<第14~17週>~|NHK連続テレビ小説『半分、青い。』

 「神々しい母の顔」を永野芽郁さんが試行錯誤して編み出したのがうかがえます。

神々しい、とはつまり菩薩のような顔ということでしょうか。そんなト書きを提示されたら仏像巡りの旅に出てしまいそうです。

そして中村倫也さん。マァくんを演じたときのことです。

北川(悦吏子)さんが台本に散りばめた「フワフワホイップクリームみたいな男子」「切実さの感じられないところが魅力」といったト書きがヒントになりました。ご本人とお会いしたときにも「(中村さんは正人の)まんまじゃん」と言われたので、「そうなんだ」と(笑)。あまり作り込まずに、自分の中のホイップクリーム系男子を出そう、という意識です。

インタビュー 中村 倫也|NHK連続テレビ小説『半分、青い。』

 ト書きにまたふわっとしたことが書かれていたんですね。お察しします。フワフワホイップクリームみたいな男子で思い浮かぶのはりゅうちぇるみたいな渋谷系ファッションの男性ですかね……。マァくんの演技はぽつり、ぽつりと話すイメージでしたけども、あくまで台本に忠実に演じた結果だったのだなというのがこのインタビューでわかりました。

続いて、キムラ緑子さん。三オバの光江を演じてのインタビューです。

誰かを動かすための長ゼリフではなく、ただしゃべりたいからしゃべる、というお芝居は初めてかもしれません。満腹の麦ちゃん(麻生祐未)とめあちゃん(めあり・須藤理彩)に「しゃべらないぶん、私たち食べますから!」なんて言われながら、頑張りました(笑)。

インタビュー キムラ緑子・麻生祐未・須藤理彩|NHK連続テレビ小説『半分、青い。』

素麺を食べ続けながら意味のない台詞を言い続ける……という罰ゲームもといお芝居を見事に演じてらっしゃいました。

ただしゃべらせたいだけの台詞を、朝ドラの15分という時間につめこむ意味が本当にわかりません。

過去ドラマの台詞を勝手にCMに使用されたことも

北川作品を検証していると、過去にあるトラブルが発生したことを知ってしまいました。無駄に詳しくなっていきます。もうしばらくお付き合いください。

事の発端は、2011年。

ユナイテッドアローズのCMで北川悦吏子作品「ビューティフルライフ(2000年TBS放送)」の台詞が使われました。

www.youtube.com

台詞の使用について北川悦吏子さん自身は知らされていなかったそうです。

視聴者よりTwitterで教えてもらったみたいですね。

無断で使用されたことにショックを受け、この日は泣き寝入り。

後日、ドラマのプロデューサーもまじえてしかるべき話し合いが行われたとのことです。

問題となったCM動画が公式によってまだ視聴可能な状態であるのと、数年後に北川悦吏子さん自身がユナイテッドアローズで服を購入していることから、穏便に解決したようですね。

このことからわかるのは、自分の生み出した台詞をとても大事にしているということでしょうか。朝ドラはもう脱稿したようですが、ひとつひとつの台詞にもっと真摯に向き合っていれば鈴愛の「〇んでくれ」発言であんなに反感を買うこともなかったのかもしれないなぁ、と思います。 

▼あてがきについての考察

hanshiro.hatenablog.com