半分白目日記

思った、ことを、書いて、いきます。

空に消えた設定シリーズ・森山涼次編

「半分、青い。」では突如あらわれる設定がよく見受けられます。

役目を終えてすぐ消える設定もあれば、一度だけで使い捨てられる設定も。

あとから「そういえばあれは一体なんだったんだろう」と思い出すことも多くなりました。

この空に消えたシリーズでは、そんな忘れ去られた設定や人物たちにスポットをあてていく予定です。

第一弾は森山涼次。涼ちゃんです。

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「一瞬に咲け」の大ファン

鈴愛と出会ってからまもなく、涼次は楡野スズメの漫画「一瞬に咲け」が大好きで全巻2冊ずつ持っているほどのファンだと告白しました。

初めてファンを目の前にした鈴愛は涙を流して感謝。このことが、二人を急接近させるきっかけにもなりました。

しかしその後、鈴愛の漫画に関する話はほとんど出てきません。

例えば新居に引っ越すとき、涼次が持っているという漫画本は出てきません。都合よく解釈するならば、漫画家という夢に破れた鈴愛を気遣って目に触れさせないようにしていたかもしれませんね。

また、涼次が自分で物語を完結させることができない弱点を補うために原作つきの脚本を書くことになったとき。スズメの漫画「一瞬に咲け」には触れられませんでした。

あれほどまでに「大っっ好きで」と言っていた漫画を映画化しない理由はあるのでしょうか。絵コンテは自分で切りたい、とかそういうこだわり?

涼次と離婚してから実家に帰った鈴愛は、「花野には自分がむかし漫画家だったとか恥ずかしくて秘密にしている」と律に言いました。涼次といるときには一言も話されなかった設定です。単純に考えるならば、元々「一瞬に咲け」の大ファンだった涼次が鈴愛とそのことを話そうとして子供の前で止められる、そういう流れがあったほうが自然です。しかし、涼次がスズメの漫画の大ファンだという設定はドラマで一度きりしか出てきませんでした。 

真面目な場面で笑い出す

涼次と鈴愛が結婚を決めたときのことです。

梟町の楡野家に挨拶に出向いた涼次。鈴愛の家族の前で結婚する意志を伝えようとしましたが、きゅうにゲラゲラと笑いだしてしまいます

涼次が言うには「こういう真面目な場面だと面白くなっちゃって」とのこと。

しかし、涼次が場違いに笑い出したのはあの一度きりです。

あの後、神前結婚式を挙げたり、鈴愛の出産に立ち会ったり、元住吉祥平が謝罪に訪れたりなど、真面目なシーンがたくさんありました。涼次からしたら笑わずにいられない場面ばかりのはず。このことから考えられるのは、涼次にはそのような悪癖はない、ということです。ではなぜ涼次はあのときだけ笑いだしたのか。もしかしたらあの笑いは涼次からの救難信号だったのではないでしょうか。流れで鈴愛にプロポーズしてしまったけど、このまま結婚したら大変なことになる……というSOSだったのでしょう。

まぁ、ドラマ的に考えれば涼ちゃんの笑いは15分間の放送終了間際だったので、単なる「引き」を演出するためだったんでしょうね。ただ、あの狂人的な笑いは涼次という人間がかなりズレてる設定として印象も強く、使い捨てするにはもったいないと感じました。

やたら料理がうまい

元住吉祥平のもとに転がりこんで一緒に生活していたとき、食事は涼次が担当していました。冷蔵庫にあるもので手早く凝った料理をつくり、祥平を「うまい」と唸らせていましたよね。また、鈴愛と結婚後に三人の叔母のもとへ帰っていたときも、料理で三オバを「やっぱり涼ちゃんの料理は最高よね」と感心させていました。

しかし、鈴愛の前で料理の腕ふるわれることはほとんどなかったようです。あるとき三オバに朝食を作ったついでに鈴愛の分も用意されていましたが、思い当たるのはそれくらい。家で脚本を執筆していたときも、厭世でただ布団にこもってテレビを見ていたときも、涼次は料理どころか洗濯物をとりこむことさえしていませんでしたね。そのあたりは涼次のプライドや鈴愛の支えぶりを描くためだったのでしょうか。

ではなぜ、涼次はやたらと料理がうまいという設定にしたのでしょう。ドラマでその理由は明かされません。たとえばどこかの料理店でずっとアルバイトをしていたとか、元住吉祥平があまりに料理が苦手だとか。すべては謎です。公式で明かされない以上、勝手に想像するしかないのですが、「イケメンで料理が得意とか素敵じゃない?」という脚本家の意図がうっすら見え隠れするのは気のせいでしょうか。

三オバに「愛しころされる」

三歳で両親を失ってから、三人の叔母に育てられた涼次。三オバからの愛情をたっぷり受けて大人になりましたが、ある日「助けてください。俺、愛しころされる」と元住吉祥平のアパートに駆け込んできます。

鈴愛と結婚後、貯金を映画に使い込んだ涼次はまた三オバのもとへ戻ることになりました。 とはいっても倉庫にしていた離れを住居として、家賃もきちんと支払うというかたち。超近距離別居で、涼次が愛しころされる描写がついに見られるのかとワクワクしたものです。しかし、母屋からのブザーがあるとはいえ三オバは涼次と適度に距離を保っていましたよね。

愛しころされる、というくらいであれば住居は三オバと同じ母屋、もしくは離れであろうと家賃は無料。そのかわりほぼ毎日のように三オバの誰かが離れに入り浸り、涼次に手料理を強要する。金銭面においても涼次の衣食住をすべて世話する勢いで三オバが関わってくるかと思いきや、全然でした。

無理矢理想像で補うとして、三オバはあまりに涼次に愛情を向けた結果逃げ出されたことがあったので、適度な距離を保つよう努力していたのでしょうか。しかしそのような葛藤は三オバにはまったく見えませんでした。

涼次は映画監督の夢を捨てきれずに離婚を主張しますが、そのときも「愛が重い」というような言い方ではなかったですよね。「夢のために家族が邪魔になる」がどのように「愛しころされる」と言った心理とつながっていくのか、もう少しエピソードがほしかったところです。

もしくはただ単に「愛し殺される」ってかっこよくね? というだけの台詞だったのでは。そんな疑念がよぎる設定でした。

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―――涼ちゃんさん。いまは、思いっきり笑えてますか?